もう一人のワタシを知る|双極性障害で見える新しい自分

気分の波が激しい病

落ち込み

双極性障害は気分が高まる躁状態と、気分が落ち込む鬱状態を繰り返す、脳の病気です。躁状態では、気分が高ぶって誰構わず話しかけたり、まったく眠らずに動き回ったり、とにかく活動的になります。例えば、高額のローンを組んで買物をしたり、ギャンブルにのめり込んで大金を失ったり、上司と大喧嘩してしたりと、気分が高揚している本人はともかく、周囲の人間にとってもはた迷惑な事件を引き起こしたりします。そこまで危険な状態にならないでも、いつもより妙に元気があったり、活動的になる程度の軽躁状態も、躁状態の一種です。一方うつ状態になると、とにかく気分が落ち込んで、眠れなくなったり、逆に眠り過ぎたり、すべてに興味を失って、動くのさえもおっくうという状態になります。双極性障害はうつ状態と態典型的な躁状態を繰り返す双極性I型と、うつ状態とI型程は酷くない軽躁状態を繰り返す双極性II型があります。うつ状態と躁状態を繰り返す感覚も人によってさまざまで、数年単位で躁とうつのエピソードが現れる人もいれば、数か月、さらに極端な場合は数日単位で躁うつ状態を繰り返す、ラピッド・サイクラ―と呼ばれる人もいます。双極性障害とうつ病は違う病気です。うつ病の場合は、気分の落ち込みだけが繰り返されて、躁状態になることは決してありません。逆にいえば、一度でも躁エピソードが現れたとしたら、それはうつ病ではなく双極性障害です。

双極性障害には、気分安定薬と呼ばれる薬の、継続的投与が有効です。気分安定薬の中ではリチウムが特に有名です。リチウムには躁状態とうつ状態を改善する効果、躁状態とうつ状態を予防する効果、自殺を予防する効果があります。しかしリチウムは、副作用の発生等で投与が難しい薬でもあり、服薬中は血中濃度を測定して、常に一定のレベルを保つように、コントロールしなければなりません。またリチウムなどの気分安定薬に加えて、うつ状態の間は、抗うつ薬が投与されたりもしますが、薬どうしの相性の確認も必要になります。双極性障害の場合、躁あるいはうつのエピソードがいったん治まっても、再発防止のために長期間、気分安定薬を飲み続ける必要があります。何も症状がないときでも、もう大丈夫と思っても、薬の副作用が辛くても、自己判断で薬を飲むのを止めてはいけません。双極性障害は単に心の問題だけで起こる訳ではありませんが、患者本人が自分の症状を受け止め、自分と折り合いを付けるために、カウンセリング等の精神療法は有効です。患者が自分自身で再発の兆候を把握して、何か起こりそうになったら主治医にすぐ相談できるような体制を作ることが、大切です。